行き先は南アフリカ共和国
2014年春、私は南アフリカに旅に出た。
二度目の大学休学だった。
今思えば、
「世界で最も犯罪の多い街」とも呼ばれるヨハネスブルグなど、決して治安がいいとは言えない国に、ひとりで行くなんて娘をよく許してくれたと思う。
でも、
この国で暮らした約一年間は、
私にとってかけがえのない時間だった。
南アフリカで一緒に暮らした3つの家族と
最高のいなかライフを紹介します。
ケープタウン〜スウェレンダム
最初の家族が住んでいたのは、ケープタウンから車で約3時間、スウェレンダム(Swellendam)という町。
この国で初めての友達と、少しの英会話力を得たケープタウンを後にして、長距離バスでスウェレンダムに向かった。
南アフリカでは、長期間のビザがないので、ビザを延長するため最初はケープタウンの語学学校に通いました。
日本人もアジア人でさえひとりもいない中、いつも仲良くしてくれたブラジルや南米の友達。
スウェレンダムの中心街からさらに車で1時間ほど行ったところに、彼らの家はありました。

新しい暮らしのはじまり
広い土地はあるけど、いろんなものが未完成。
毎日少しずつ、暮らしをつくりながら、暮らしていました。
パパは町へ、ママは子育て
彼らは3人家族。
右から、父、母、娘。この時、叔母(父の姉、左)が訪問中でした。
パパとママともうすぐ1歳になる娘。
それから、犬と豚と羊と山羊と鶏。
パパはお金を稼ぐため、町に仕事に行くことが多く、ママは赤ちゃんがいるので、外での仕事はあまりできない。
私の仕事は山ほどありました。
なんでもやります!
その畑に木のチップと段ボールを敷き、土を豊かに。
鶏を飼ってるけど、小屋がないので産んだ卵は犬たちのおやつに。
脱走したブタを追いかけ、トタンの上に転んで、膝を5針縫うケガもしたりした。
やることすべてが初めてで、
大変なんだけど、
シャワーは2日に1回だし、
トイレ流すのにわざわざ水汲みに行かなきゃいけないけど、
たまに入れる露天風呂(なぜか外にバスタブが転がってた)ではこの満月をひとりじめ!
赤ちゃんが寝たあと、パソコンで映画を観たり、
街まで買い物に行ったり、
家族のように、一緒に過ごしてくれて、
必要としてくれるのが嬉しかった。
一番好きだった仕事
そんな不便だけど幸せな生活の中で、私が一番好きだった仕事がある。
それは、毎夕、
犬と一緒に、放牧している羊たちを追いに行くこと。
朝、小屋を開けてやり、日中は好きなところで草を食べてる。その羊たちを夕方、小屋に戻す仕事だ。
いつも一緒に来てくれたのは、カッティア。とても賢いベテランの女の子。
時間になると、つえを持ち、犬を呼ぶ。
羊たちはどこにいるかわからない。
家の近くの見えるところにいることもあれば、
羊を見つけたら、群れの後ろ側にまわり、カッティアに指示を出す。
カッティアは上手に群れを追い、羊たちは家の方に向かって走り出す。

これが私が一番好きだった仕事。
カッティアと一緒に羊を追ったことは、きっとずっと忘れない。
別れのとき
ずっとここに居てもいいと思える日々だった。
でも、いろんなところにも行ってみたかった。
次の場所に行くと決め、この家での最後の夜。
なぜか寝れなくて、なぜか何度も吐いた。
父と母が起きてきてくれた。
「ずっとここにいてほしいと思ってる。だけど、せっかく遠い日本から来たんだから、もっといろんなところに行って、いろんなものを見てほしい。
うまくいかなかったら、ここにもどってくればいい。
ただ不安でいっぱいなだけだよ。」
そう言って励ましてくれて、涙がこぼれた。
次の場所へ
次の日の朝は笑ってみんなとお別れした。

写真を見るたび、こんなトコで暮らしてたんだなとしみじみ思う。

二度とない、最高のいなかライフ。

さあ、次はどんな家族に会えるだろう。
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